絵画を描く事を趣味にするとすれば、見る事もしたくなるのではないでしょうか。私自身、イラストや絵画を描く事は子供の頃から好きであり、自分が描く事と同時に見る事も好きでした。田舎に住んでいる為に、近所に美術館などはなく回数言えば言った事のある経験はかなり少ないかもしれません。しかし回数が少ないからこそ、その時に見て印象に残った作品は今でも良く覚えています。絵画には写真にはない美しさがあります。勿論一瞬の瞬間を捉える写真にも芸術的な要素は沢山あります。しかし絵画は一瞬のように見える長い時間の経過おも感じる事が出来ます。写真はネガや今で言うデータがあれば複製する事も可能です。絵画においても模写を専門に仕事をしている方もいますし、写真などで絵葉書などに加工されている場合もあります。しかし現物の良さはやはりその比ではありません。

迫力を感じる作品もあれば空気のように軽く感じられる作品もあります。かと思えば心の痛みや闇の部分などを感じる事が出来る作品もあれば、一転して神秘的で美しい明かりが灯ったような気持ちになる作品もあります。小説などの文字や言葉で表すのではなく、絵画という一枚の作品の中に作者が表現したいいくつもの言葉が隠れているような気配が感じられるのです。自分の気分が落ち込んでいる時、どことなく暗い色を選んだりする事はないでしょうか。色や音楽に対して、その時に気分を含めて選択する事はよくあるのではないでしょうか。それ故に感情的な部分の多い芸術家が多い気がします。感情的であれば芸術家に向いているのではなく、芸術家であるからこそ感情的であるのです。筆の運び一つでさえ、今日の気分と明日の気分で違う事もあるでしょう。今日は仕上げると決意したら気分が変わらないうちに書き上げてしまわなければ納得出来る作品に辿り着かないなどといった考え方は納得できる部分も多々あります。油絵などでは、気に入らないと何度も何度も塗り重ねて描き上げられている作品も有ります。その作品が仕上がった時、一体作者は何を思い後世に何を伝えようと思ったのでしょう。

それが全くの自己満足であったとしても、何らかの事を思い、考えた事でしょう。絵画は作者がこの世から去ってしまえば数が増える事がない為に価値が上がる物もあります。死して尚忘れ去られる事のない作品を後世に残せている沢山の巨匠に続く現在の近代的な作品はまた違った味わいを見せてくれます。これからも色々な作品が生み出され、世に残っていく事を期待しています。