絵画の中での静物画は、代表的なものとしてみられ、もっとも一般大衆の目にさらされるものである。昔の西洋と日本では静物画のありかたも違ったものの、今では同じ絵画として成立している。静物画を見る点で、大事なのは静物画の中に描かれているモノを見るのではなく、そのモノとモノの間の空間を見ることですある。つまりは奥行き、床の傾きをみることである。これは絵画の中では人物画等と違って静物画は特に大事に見ていかなくてはいけないところであると思う。それは他の絵画や人物画のように大きなスクリーンで描いていくものではないところや、立体の6面のうち3面しか見えていないところ等が理由としてあげられる。しかし、静物画に奥行きや立体感をもたせるにはやはり、スクリーンに入るモノをしっかり描くこと、そしてそのモノの影をしっかり描くことが大切である。

そのものがしっかり描けてからが、奥行きや立体感まで感じられるレベルへと成長する。以上はデッサンとしての絵画の見解だ。次に油絵としての静物画は、具象画や抽象画等様々な分野に分かれるが、この際に具象画で重要なのはどこまで色味が見えるか、その色味を表現できるかであると思う。また、具象画ではデッサンと同じく奥行きも大切だが、その場の雰囲気を表すことが重要であると思う。抽象画では色のセンス、形のセンス、バランス等が問われる。そこで、全てがあわさりそれぞれの良さを引き出している作品こそ良い作品と言えるであろう。色のセンスにおいては、どこにどのような色を置くかによって、全体の雰囲気も違ってくる。また場合によっては膨らんで見えたり、細く見えたりするため、色を選ぶときは慎重に選んでいかなければならない。形は抽象画の場合、簡易化するだけでなく、変形したり、独自の見方によりもとの姿が想像もつかないような形になることもある。その際はモノから感じることが重要視される。感受性がもっとも必要とされるのだ。バランスも固定的ではなく殆どの作家の場合、感覚であろう。デザインの分野には黄金比というものがあるが、これとはまた違い、作家がそれぞれに感じたバランスで描くことが大切であると思う。

そのバランスが全体の雰囲気をつくり、そういう作品をひとつひとつ製作していくことによって、いずれはその作家の作風になっていくこともあると思う。それらは絵画を描いていく作家において、とても大切なことだという結論である。